エル・チョクロとは|意味はトウモロコシ?作曲者ビジョルド・歌詞・キス・オブ・ファイアーまで徹底解説
エル・チョクロとは|トウモロコシという名の大名曲
エル・チョクロ (El choclo) は、タンゴがまだ生まれたばかりだった1903年ごろに書かれた、最初期の大名曲です。ラ・クンパルシータと並んで「誰もが旋律を知っているタンゴ」であり、タンゴの100年を最初から見てきた曲でもあります。
エル・チョクロの意味
チョクロはスペイン語で「トウモロコシ」のことです。なぜ曲の名前がトウモロコシなのかには諸説あり、街角で売られていた焼きトウモロコシにちなんだという説、金色の髪をした人物のあだ名だったという説などが伝わっています。確かなのは、気取った題名を拒む下町の言葉がそのまま曲名になっていることで、これこそ初期タンゴの精神です。
作曲者アンヘル・ビジョルド
作曲者のアンヘル・ビジョルド (1861-1919) は、タンゴ草創期のブエノスアイレスで歌い、書き、演じた万能の音楽家で、「タンゴの父」と呼ばれることもあります。エル・チョクロのほかにも「エル・ポルテニート」など、今も演奏される初期の名曲を多数残しました。
タンゴがどのように生まれたのかは タンゴとは何か で、その時代のブエノスアイレスは ヒストリーマップ で歩けます。
後付けされた歌詞: ディセポロの1947年版
原曲は器楽曲でしたが、1947年、タンゴ詩の巨人エンリケ・サントス・ディセポロが歌詞をつけ、歌としても決定版になりました。「このおどけた、伝法な調子のタンゴとともに、私の下町に翼が生えた」と始まる歌詞は、タンゴそのものの誕生を歌った自己紹介のような詩で、リベルタ・ラマルケの歌唱などで世界に広まりました。
世界ヒット「キス・オブ・ファイアー」と日本の「火の接吻」
1952年、エル・チョクロは英語の歌詞を得て「Kiss of Fire (キス・オブ・ファイアー)」として米国でヒットチャートを席巻します。ジョージア・ギブスの歌が有名で、ルイ・アームストロングも録音しました。同じころ日本にも「火の接吻」の題で紹介され、戦後の日本にタンゴブームを起こした一曲になりました。
つまりこの曲は、下町の遊び場からブエノスアイレスの劇場へ、そしてニューヨークと東京へと、タンゴが世界音楽になっていく道筋をそのままなぞっています。
聴き比べの入口
- ダリエンソ楽団: リズムの塊としてのエル・チョクロ。踊り手が最も愛する形です
- カナロ楽団: 初期の空気を残した、おおらかな演奏です
- リベルタ・ラマルケ (歌): ディセポロ版歌詞の決定的な歌唱です
- ルイ・アームストロング: キス・オブ・ファイアー名義。タンゴがジャズと出会った記録です
よくある質問
エル・チョクロとはどういう意味ですか
スペイン語で「トウモロコシ」という意味です。街角の焼きトウモロコシに由来する説や人物のあだ名だった説など諸説ありますが、下町の言葉をそのまま曲名にした初期タンゴらしい命名です。
エル・チョクロの作曲者は誰ですか
タンゴ草創期の音楽家アンヘル・ビジョルド (1861-1919) です。1903年ごろに書かれ、以来120年にわたって演奏され続けています。
エル・チョクロに歌詞はありますか
原曲は器楽曲ですが、1947年にエンリケ・サントス・ディセポロが歌詞をつけた版が決定版になっています。タンゴ誕生の情景を歌った詩です。
キス・オブ・ファイアーとエル・チョクロは同じ曲ですか
同じ曲です。1952年に英語詞をつけて「Kiss of Fire」として米国でヒットし、日本では「火の接吻」の題で紹介されました。