ペリトモレノ氷河|崩落を見る時間帯と、3つの見方

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ペリトモレノ氷河は、パタゴニアのロス・グラシアレス国立公園にある、世界で最も「動きを見られる」氷河です。幅約5km、湖面からの高さ約60mの氷の壁が今も1日数メートル前進し続けており、先端が轟音とともに湖へ崩れ落ちる瞬間を、正面の遊歩道から安全に見られます。
氷河というと白い山を遠くから眺めるイメージですが、ここは違います。青く発光する氷の断崖が目の前にあり、数十分待てば高確率で崩落が起きる。地球が動いている音を聞く場所です。1981年に登録された 世界遺産 でもあります。
ペリトモレノ氷河とはどんな氷河か
南パタゴニア氷原から流れ出る、長さ30キロほどの氷の川です。
数字で言うと、湖に接する氷壁の幅は5キロ、水面から出ている高さは60メートル前後。水面下にはその5倍ほどが沈んでいます。ビルでいえば20階建てが横に5キロ並んでいる状態で、遊歩道から見ても端が視界に入りません。
この氷河が世界的に知られているのは、後退していないためです。世界の氷河のほとんどが縮んでいるなかで、ペリトモレノはおおむね釣り合った状態を保っています。上流での降雪量が多く、流れ出る速さと溶ける速さが拮抗しているためと説明されますが、なぜここだけそうなのかは完全には解明されていません。
流れる速さは1日およそ2メートルです。氷が押し出され、先端が湖に落ちる。これが崩落の正体で、氷が溶けて壊れているのではなく、後ろから押されて折れています。
名前のモレノは、19世紀にこの地域を測量したフランシスコ・モレノに由来します。ペリト (perito) は「専門家」という意味の称号で、名前の一部ではありません。国境画定の交渉でアルゼンチン側の鑑定人を務めたことから、こう呼ばれました。
数年に一度の決壊
この氷河には、他では見られない現象があります。
氷河の先端がマガジャネス半島に届いて湖を二つに仕切ってしまうことがあります。せき止められた側の水位は上がり続け、両側で20メートル以上の差がつきます。
やがて水圧が氷の下を掘り、トンネルができます。トンネルは広がり、天井のアーチが残ります。そして数日のうちに、そのアーチが崩れ落ちます。
これが決壊 (ruptura) です。前回の発生は2018年3月、その前は2016年でした。周期は決まっておらず、2年から10年の幅があります。起きるとわかるのは数週間前で、そのたびに世界中から人が集まります。
決壊を狙って旅程を組むことはできません。ただ、湖の水位差が生じているときは遊歩道からトンネルの形が見えるので、行く前にエル・カラファテの観光案内で確認してみてください。
崩落を見るための時間帯
崩落は一日中起きていますが、頻度に波があります。
気温が上がる午後、とくに14時から17時が最も多くなります。氷の内部に融解水が入り、割れ目が広がるためです。晴れて風のない日ほど起きます。
音は先に来ません。銃声のような破裂音が響いたときには、崩落はもう始まっています。音を聞いてから探すと間に合わないので、氷壁の一点を決めて数分間見続けるのが確実です。氷が青く見える部分、亀裂が縦に走っている部分が落ちやすい箇所です。
落ちた氷が水面を打つと、数分遅れて波が岸に届きます。遊歩道の低い段にいるときは、この波に注意してください。
氷河の見方は3通り
展望遊歩道 (バルコニー)
氷河の正面半島に何層もの遊歩道が整備されており、入園すれば誰でも歩けます。崩落を狙うコツは一つ、「音がしてから探さない」ことです。崩落は音より先に始まります。氷壁の一点を数分単位で眺め続けた人が、亀裂から剥がれ落ちる全過程を見られます。午後の気温が上がる時間帯が狙い目です。
遊覧船サファリ
湖面から氷壁を見上げる1時間程度のクルーズです。遊歩道より氷に近づき、60mの高さを真下から実感できます。崩落の波を避けるため一定距離は保ちますが、迫力は船が上です。
氷上トレッキング
アイゼンを着けて氷河の上を実際に歩くツアーです。約1時間半歩くミニトレッキングと、氷河の奥まで入る長時間コースがあり、クレバスと氷の水路、青い洞窟を間近に見られます。年齢制限があるため予約時に確認してください。締めに氷河の氷でウイスキーを注ぐ演出が定番です。日本語で予約するなら KKday にも商品があります。
世界の現地ツアーや体験を日本語で予約できるサイトです。アルゼンチンのページには空港送迎やタンゴ関連、イグアス方面のプランが日本語で並び、口コミと空き状況を見て申し込めます。スペイン語や英語での予約に不安がある人の選択肢です。
氷上トレッキングや遊覧船を日本語で押さえられます。年齢制限のあるツアーは予約時に条件を確認してください。
拠点の街エル・カラファテ
氷河観光の拠点は、アルヘンティーノ湖畔の小さな街エル・カラファテです。氷河までは車で約1時間半。ツアーバスと路線バスが毎朝出ます。
街の名前は、パタゴニアに自生する青い実カラファテに由来します。「カラファテの実を食べた者はパタゴニアに戻ってくる」という言い伝えがあり、街ではカラファテのジャムとアイスクリームが名物です。ラム肉の炭火焼き (コルデロ・パタゴニコ) もこの地方の看板料理で、アサード文化 のパタゴニア版として味わえます。
行き方と所要日数
- 飛行機はブエノスアイレス (アエロパルケ) からエル・カラファテ空港まで約3時間強。ウシュアイアへの便もあり、最果てとセットで回るのが定石です
- 日数は最低2日。1日を展望遊歩道+遊覧船、もう1日を氷上トレッキングに使う配分が満足度最大です
- 組み込み方は観光モデルコース の10日プランに入れてあります
エル・チャルテンへ足を延ばす
エル・カラファテから車で約3時間の村エル・チャルテンは、名峰フィッツロイの麓にあるトレッキングの聖地です。日帰りも可能ですが、朝焼けで赤く燃えるフィッツロイを見るなら1泊が必要です。パタゴニアの歩き方全体は パタゴニア完全ガイド にまとめています。
ベストシーズンと服装
- 10〜4月 (春〜秋)は観光シーズンです。日照が長く、ツアーが全種類催行されます
- 12〜2月 (真夏)は最も暖かく賑わいますが、風がいちばん強い季節でもあります
- 5〜9月 (冬)は遊歩道は開いていますが、トレッキング類は縮小されます。雪化粧の氷河は人の少ない季節だけの絶景です
- 服装は夏でも朝晩は一桁台まで冷えます。防風ジャケット、フリース、サングラス (氷の照り返しが強烈です) を必ず。詳細は アルゼンチンの気候とベストシーズン へ
氷河を歩く装備
地図で見る動くバス・地下鉄・治安・見どころを1枚で。入れるものは要りません
よくある質問
ペリトモレノ氷河はなぜ有名なのですか
今も前進を続ける活発な氷河で、高さ約60mの氷壁が崩落する瞬間を正面の遊歩道から安全に見られるためです。氷河の動きを目と耳で体感できる場所として世界的に知られ、世界遺産ロス・グラシアレス国立公園の中心です。
氷河の崩落は必ず見られますか
保証はありませんが、数十分から数時間の滞在で見られる確率はかなり高い氷河です。気温の上がる午後が狙い目で、音がする前に氷壁の一点を見続けるのがコツです。
ペリトモレノ氷河への行き方を教えてください
ブエノスアイレスから飛行機で約3時間強のエル・カラファテが拠点です。街から氷河までは車で約1時間半で、ツアーバスか路線バスで往復できます。
氷上トレッキングは誰でも参加できますか
アイゼンを着けて歩ける健康な人なら参加できますが、年齢制限が設定されているため予約時の確認が必要です。約1時間半歩くミニトレッキングが標準コースです。
エル・カラファテには何日必要ですか
最低2日です。1日を展望遊歩道と遊覧船、もう1日を氷上トレッキングに使うのが定番の配分です。フィッツロイ (エル・チャルテン) まで足を延ばすなら1〜2日追加してください。
ベストシーズンはいつですか
10月から4月です。日照が長くすべてのツアーが催行されます。夏でも朝晩は冷えるため、防風着とフリースが必須です。