歴史と文化

ガウチョとは|アルゼンチンの騎馬民の歴史・服装・道具・カウボーイとの違い

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目次
  1. ガウチョの意味と語源
  2. 服装と道具
  3. 歴史: 無法者から国民の象徴へ
  4. カウボーイとの違い
  5. 現在のガウチョ: 祭りとエスタンシア
  6. ガウチョを知る本と映画
  7. よくある質問

ガウチョとは|アルゼンチンの騎馬民のすべて

ガウチョとは、アルゼンチンやウルグアイの大草原パンパで、馬とともに牛を追って生きてきた牧童のことです。18世紀に生まれ、19世紀に独立戦争を戦い、やがて国民文学の主人公になりました。今日のアルゼンチンでも、ガウチョは「アルゼンチン人らしさ」の象徴であり続けています。

日本では洋服の「ガウチョパンツ」で知られる言葉ですが、その語源になった人々の実像は、あまり知られていません。この記事では、意味と語源、服装と道具、歴史、カウボーイとの違い、そして現在のガウチョまでを順に解説します。

ガウチョの意味と語源

ガウチョ (gaucho) は、スペイン語で「パンパの騎馬牧童」を指す言葉です。語源は確定しておらず、先住民ケチュア語で「孤児・放浪者」を意味する言葉に由来する説や、地図に載らない土地の民を指した言葉から来た説などがあります。

18世紀のパンパには、持ち主のいない牛と馬が野生化して数百万頭の規模で増えていました。スペイン人と先住民の混血の人々を中心に、この野生の牛を馬で追い、皮と干し肉で生計を立てる人々が現れます。これがガウチョの始まりです。定住せず、賃金より自由を選び、馬の上で一生を過ごす。都市の人々から見れば無法者、本人たちにとっては誇り高い生き方でした。

服装と道具

ガウチョの装いは、馬上の実用から生まれています。

  • ポンチョ: 一枚布の外套です。防寒着であり、寝具であり、決闘のときは左腕に巻いて盾になりました
  • ボンバチャ: 膝下で裾を絞ったゆったりした乗馬ズボンです。日本の「ガウチョパンツ」の原型です
  • ファコン: 背中の帯に差す大型のナイフです。仕事道具であり、食事の道具であり、武器でもありました
  • ボレアドーラス: 革ひもの先に石の球を付けた投げ縄です。走る動物の脚に絡めて捕らえる、先住民由来の道具です
  • ラストラ: 銀貨やコインで飾った幅広のベルトです。財産を腰に着けて持ち歩く実用でもありました
  • マテ茶: ひょうたんの器で回し飲みする茶です。ガウチョの焚き火の周りから、アルゼンチン全体の習慣になりました

歴史: 無法者から国民の象徴へ

19世紀初頭の独立戦争では、馬術に長けたガウチョが騎兵として戦い、ギエモス将軍のガウチョ部隊はスペイン軍を消耗させました。しかし独立後の近代化の中で、パンパは鉄条網で区切られた私有地になり、自由に草原を移動するガウチョの生き方は「遅れたもの」として排除されていきます。

その流れを反転させたのが文学でした。1872年、ホセ・エルナンデスが発表した叙事詩「マルティン・フィエロ」は、徴兵と貧困に追われるガウチョの姿を主人公の一人語りで描き、国民的な文学になります。排除の対象だったガウチョは、20世紀に入ると逆に「アルゼンチンの魂」として国のアイデンティティの中心に置かれました。エルナンデスの誕生日の11月10日は「伝統の日」という記念日になっています。

カウボーイとの違い

北米のカウボーイとガウチョは、どちらも牛を追う騎馬の牧童ですが、性格が異なります。

ガウチョカウボーイ
舞台アルゼンチン・ウルグアイのパンパ北米の西部
起源18世紀 (カウボーイより古い)19世紀半ば
投げる道具ボレアドーラス投げ縄 (ラリアット)
刃物ファコン (大型ナイフ)銃が中心
文化的な位置国民文学の主人公・国の象徴映画の主人公

ガウチョの歴史はカウボーイより約1世紀古く、映画ではなく詩と歌によって国民の記憶になった点が最大の違いです。

現在のガウチョ: 祭りとエスタンシア

ガウチョは過去の存在ではありません。パンパの牧場 (エスタンシア) では、今も馬で牛を扱う仕事が続いています。

  • サン・アントニオ・デ・アレコ: ブエノスアイレスから約110kmの町で、毎年11月に伝統の日の祭りが開かれます。馬術の妙技、民族舞踊、アサードが揃う、ガウチョ文化の中心地です
  • エスタンシア観光: 牧場に滞在して乗馬とアサードを体験する「ディア・デ・カンポ」は、ブエノスアイレスから日帰りできます
  • フォルクローレ: ガウチョの踊りマランボは、ブーツの踵で床を打ち鳴らす男性の踊りとして舞台で生き続けています

アサードの焼き方、マテ茶の回し飲み、寡黙を美徳とする気風。アルゼンチンの日常のあちこちに、ガウチョの遺産が残っています。

ガウチョを知る本と映画

入口としては、まず「マルティン・フィエロ」です。岩波文庫などで日本語訳が読めます。ガウチョの一人語りの韻文で、アルゼンチン人なら誰でも冒頭を暗唱できる国民詩です。

道具から入るなら、マテ茶が最も身近です。器と茶葉のセットは日本でも手に入ります。

よくある質問

ガウチョとはどういう意味ですか

アルゼンチンやウルグアイの大草原パンパで、馬に乗って牛を追ってきた牧童のことです。18世紀に生まれ、独立戦争で騎兵として戦い、現在はアルゼンチンの国民的な象徴になっています。

ガウチョパンツの由来は何ですか

ガウチョが乗馬用にはいていた、裾を絞ったゆったりしたズボン「ボンバチャ」が原型です。動きやすい形が現代のファッションに取り入れられ、ガウチョパンツと呼ばれるようになりました。

ガウチョとカウボーイの違いは何ですか

ガウチョは18世紀のパンパで生まれ、投げ縄の代わりにボレアドーラス、銃の代わりにファコンという大型ナイフを使いました。歴史はカウボーイより約1世紀古く、映画ではなく国民文学「マルティン・フィエロ」を通じて国の象徴になった点が違います。

ガウチョの服装にはどんな特徴がありますか

一枚布の外套ポンチョ、裾を絞った乗馬ズボンのボンバチャ、銀貨で飾ったベルトのラストラ、背中に差すナイフのファコンが基本です。どれも馬上の生活の実用から生まれています。

今もガウチョはいますか

います。パンパの牧場では今も馬で牛を扱う仕事が続いており、サン・アントニオ・デ・アレコでは毎年11月に伝統の日の祭りが開かれます。牧場に滞在して乗馬やアサードを体験するエスタンシア観光も人気です。

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