【アルゼンチンの魂】フォルクローレの歴史から楽器までの完全ガイド
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アルゼンチンのフォルクローレ音楽は、その豊かな歴史と文化的多様性において、この国のアイデンティティを形作る重要な文化的な要素の一つです。
この音楽ジャンルは、伝統と革新の交差点に位置し、多くのアルゼンチン人にとって心の故郷とも言える場所を提供しています。
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始まりと発展
フォルクローレの起源は、アルゼンチンの先住民族とスペインの植民地時代の文化が融合した点にあります。
1950年代以降に、これらの民間伝承的な要素が商業音楽としてのフォルクローレへと変化し始めました。
この時期、ヨーロッパに渡ったアルゼンチンの音楽家たちが、自身のジャンルを「フォルクローレ」として広め、国際的な舞台での注目を集め始めました。
スペインの植民地時代の影響は、確かにアルゼンチンのフォルクローレ音楽に大きく影響を与えていますが、それだけではなく、他の地域の文化も融合しています。
もう少し深掘りして文化をみていきましょう。
スペインの影響?
スペイン文化の影響は、特に楽器や音楽のスタイルに見られます。
ギターのような弦楽器や、ヨーロッパ起源の楽曲構造がフォルクローレに取り入れられています。
例えば6/8拍子のリズムなどは、スペインの音楽、特にフラメンコにおいて見られる特徴の一つです。
先住民族とアフリカの影響
ただし、フォルクローレは単にスペインの音楽を模倣したものではありません。
アルゼンチンの先住民族、例えばケチュア族やアイマラ族などの文化もフォルクローレに大きな影響を与えているのも事実です。
ケチュア族(Quechua)は、南アメリカのアンデス地方に広がる主要な先住民族でかつてインカ帝国の主要な言語と文化を担っていました。
アイマラ族 (Aymara)は主にボリビア、ペルー、チリのアンデス高地に住む先住民族で古代からの伝統と独自の言語を保持しています。
これらの文化からは、さまざまなリズム、楽器(例えばフルートのような吹奏楽器やパーカッション)、歌詞のテーマなどが取り入れられました。
また、アフリカの影響も見逃せません。
アルゼンチンには、アフリカ系のコミュニティが存在し、その文化は音楽にも影響を与えています。
特に、リズムやダンス、一部の打楽器はアフリカの伝統に根ざしています。
アフリカ文化はフォルクローレだけに限らずタンゴにも深く関わっています。
タンゴの語源がタンボールとする説はかなり信憑性があります。
アメリカのジャズ、ラテンアメリカのタンゴ、それぞれ二大民族音楽の発祥起源がアフリカにあるというのは非常に興味深い事実となります。
地域ごとの多様性
また、アルゼンチンは地域によって文化的背景が異なるため、フォルクローレも地域によって様々なバリエーションがあります。
これはエンパナーダという食文化にもいえることでしょう。
フォルクローレに関しては北部では特に先住民族の影響が強く、南部や中央部ではよりヨーロッパの影響が顕著になっている傾向があります。
メルセデス・ソーサとヌエボ・カンシオネーロ運動
メルセデス・ソーサはフォルクローレの伝説的な歌手であり、彼女の音楽はアルゼンチンの政治と文化に深く根ざしています。
彼女は1960年代末に「ヌエボ・カンシオネーロ」運動に参加し、音楽を通じて国民を団結させる役割を果たしました。彼女の音楽は、政治的抑圧に対する強いメッセージを含んでおり、独裁政権下での公演が警察に中断されるなど、多くの困難に直面しました。しかし、その声はアルゼンチンの民衆の心を捉え、「ラテンアメリカの声」として広く愛されました。
フォルクローレの楽器とダンス
アルゼンチンのフォルクローレは、その独特の楽器とダンススタイルによって特徴づけられています。
これらの要素は、フォルクローレが持つ深い文化的意義と、多様な歴史的背景を反映しています。
ここからはフォルクローレで使われる楽器についてみていきましょう!
フォルクローレにおける多様な楽器
- ケーナ (Quena):
- アンデスの伝統的な縦笛。
- 木製または葦製で、柔らかく悲しげな音色が特徴。
- チャランゴ (Charango):
- 小型の弦楽器で、アルマジロの背中の甲殻で作られることもある。
- ウクレレに似ており、高い音が魅力。
- サンポーニャ (Sampoña):
- パンフルートに似た吹奏楽器。
- 複数の管が束になっており、それぞれ異なる音階を奏でる。
- ボンボ (Bombo):
- 深みのある音色を持つ大型の打楽器。
- 牛革または羊皮で作られ、力強いリズムを刻む。
- Pezuñas (Chajchas):
- アンデス山脈で使用される打楽器。
- 山羊の蹄を使って作られ、ジャラジャラとした音が特徴。
- バンドネオン (Bandoneón):
- タンゴにも使用されるアコーディオンの一種。
- 特有の哀愁を帯びた音色がフォルクローレに深みを加える。
これらの楽器は、フォルクローレ音楽に独特の音色とリズムをもたらしています。ケーナやサンポーニャは、アンデスの山々の自然な響きを表現し、チャランゴやバンドネオンはメロディーに深みと多様性を加えます。ボンボとPezuñasは、音楽のリズムを強調し、ダンスとの同調を促します。
これらの楽器は、フォルクローレの演奏において不可欠な要素であり、アルゼンチンの音楽文化の豊かさを示しています。
アルゼンチンの魂を表現する舞
アルゼンチンのフォルクローレは、その独特なダンススタイルによっても特徴づけられています。これらのダンスは、アルゼンチンの歴史、文化、そして人々の情熱を体現しています。
- サンバ (Zamba):
- ロマンティックで情熱的なカップルダンス。
- ハンカチを振りながら踊る独特の動きが特徴。
- 恋愛や愛情表現の象徴として人気。
- チャカレーラ (Chacarera):
- 明るく活発なダンススタイル。
- クラップやステップが特徴的で、観客も参加しやすい。
- 地域によって様々なバリエーションが存在する。
- マランボ (Malambo):
- 男性のみで行われるパワフルなソロダンス。
- 高速の足の動きと体の回転が特徴。
- ガウチョ(アルゼンチンのカウボーイ)の文化を反映している。
マランボに関しては青いタンゴ礁の取材映像ではないですが、Youtubeよりこちらの動画が非常に参考になるのでリンクさせていただきました。
これらのダンスは、アルゼンチンの社会と文化の中で重要な役割を果たしています。
サンバやチャカレーラは、コミュニティの絆を強化し、共有される喜びや祝祭の感覚を生み出します。
一方、マランボは個人の技術と力強さを示し、ガウチョの伝統とプライドを表現しています。
こちらは青いタンゴ礁がルハンで撮影した現地のフォルクローレの様子。
フォルクローレの鼓動ボンボを徹底解説
アルゼンチンのフォルクローレ音楽の中心とも言える楽器、ボンボ。
この楽器は、フォルクローレのリズムの鼓動として、音楽に深い力と情熱を吹き込みます。
この力強い打楽器は、アルゼンチンの先住民族によって作られ始めたとされており、彼らは自然の素材を利用して儀式や祭りで使用する楽器を作り出しました。
初期のボンボは、木製のフレームに動物の皮を張ったシンプルな構造。
力強いリズムを生み出すためだけに設計された原始的な打楽器でした。
スペインの植民地時代に入ると、ヨーロッパの楽器製造技術が導入され、ボンボのデザインにも大きな影響を与えました。
この時期、ボンボはより洗練された楽器としての特徴を持ち始め、アルゼンチンの音楽文化において重要な位置を占めるようになりました。
特に19世紀から20世紀にかけて、フォルクローレ音楽が形成される中で、ボンボはその主要な楽器として確固たる地位を築いていきました。
ガウチョの音楽やダンスにおいて、ボンボのリズムと響きが重要な役割を果たし、フォルクローレの核となる部分を形成していきます。
丸く深いボディを持つものが一般的ですが、実は携帯用のボンボとしてこのような薄型のものも作られています。
ボンボの特徴まとめ
- 構造と素材:
- 伝統的には木製の体と動物の皮で作られる。
- 丸く深い体が、特徴的な低音を生み出す。
- リズムの中核:
- ボンボはフォルクローレ音楽において、リズムの基盤を形成。
- その強力なビートは、ダンスとの同調を促し、曲の感情を高める。
- 文化的な意義:
- ボンボは、アルゼンチンの伝統とアイデンティティの象徴。
- ガウチョの文化やアンデスの先住民族の影響を反映。
ボンボの演奏方法と役割
- 演奏技法:
- 手やスティックを使って演奏される。
- リズムの強弱や速さで、曲の感情を表現。
- 音楽の集合体としての役割:
- ボンボは他の楽器や歌と調和し、音楽に一体感をもたらす。
- 音楽の中で、リズムの変化によって感情の流れを導く。
青いタンゴ礁の現地スタッフの一人であるピアナ・ナッチョが実際に解説している携帯型ボンボのサウンドをこちらでお楽しみいただけます。
ナッチョはフォルクローレ研究の専門家であり、現地の本物のフォルクローレを体験することができます。
継続する遺産と進化の旅
フォルクローレ音楽は、その伝統的なルーツを維持しつつ、現代の要素と融合することで新たな息吹を得ています。
特に若い世代のミュージシャンたちは、伝統的な楽器と現代的な技術や音楽理論とを組み合わせ、新しい音楽スタイルを探求しています。
これにより、フォルクローレ音楽は新しい聴衆に向けてさらに魅力的なものへと進化しています。
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