“南極旅行の準備?!”超気軽にペンギンマスター

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ペンギンの先祖は南極にルーツを持っているのではなく、実はニュージーランドだったのを知っていますか?
そう言われてみれば、キーウィやタカヘなどペンギンのルーツを彷彿とさせる珍しい動物がたくさんいますよね。
アルゼンチンとは非常に濃い関係と歴史を持つ南極の中でもペンギンにスポットライトを当ててペンギンのルーツを探ります。
  • ペンギンについて知ることができます。
  • ペンギンの鳴き声を聴くことができます。
  • 南極に興味津々になれます。

ルーツを知る

南極を中心として南半球に18種類が分布して生息しています。

引用:The Encyclopedia of Animals: a complete

今ではほとんど使われることはありませんが、漢字で書くと「人鳥(じんちょう)」「企鵝(きが、企は爪先立つの意、鵝はガチョウ)」と表します。

6100万年前の世界

ニュージーランドで生活しており、進化していきました。

最古のペンギンはワイマヌという種類で約6200万年前~6000万年前の白亜紀、K-Pg境界の直後に誕生しました。

K-Pg境界とは地質年代区分用語
約6550万年前の中生代白亜紀と新生代古第三紀の境目を指します。
この時、顕生代における5回の大量絶滅のうち最後の絶滅となっています。
鳥類以外の恐竜やいくつかの哺乳類、鳥類、トカゲや昆虫、植物が絶滅(陸上では一部の種類を除き体重25kg以上の生物はほぼ絶滅したと言われています。)。
海洋生物では、K-Pg境界でプレシオサウルスとモササウルスが絶滅。
サメや軟体動物(特にアンモナイト)まで絶滅しています。
地球上すべての生物種の75% 以上が絶滅したと推定されています。
考察ワイマヌが絶滅前から誕生していたのか?
それとも絶滅直後に誕生して急速に進化していったのか?という論争については化石の証拠と組み合わせたDNA研究によって後者が有力とされています。
出典と引用:Photo: John Kirk-Anderson / The Press / アマチュア化石ハンターのアル・マネリング氏
(ワイマヌ マンリンギ)イメージ図 / 引用:Wikipedia

ペンギンが飛ばない理由

この誕生の起源を知ることでペンギンが空を飛ばない理由が見えてきます。

ちょうど大量絶滅のタイミングで誕生したペンギンはプレシオサウルスとモササウルス、サメなどの大型の敵から狙われる心配がなくなったため、海洋で捕食される心配をすることなく自由に狩りができるようになったわけです。

空を飛ぶという非常にエネルギーを使う方法をわざわざ選択する必要がなかったわけですね。

このK-Pg境界がなければ空からの狩りを選択する必要性もあるわけですから、ペンギンの進化は現存する生物の中でも特別珍しいタイミングが重なったからこその形態であると言えます。

南極へ進出

5900万年前になって初めてニュージーランドから最も近い南極大陸に進出しました。

この進出に伴い身体が巨大化していったと言われています。

現在最も大きな身体を持つペンギンはコウテイペンギン。

コウテイペンギン別名:エンペラーペンギンとも呼ばれ体長100~130cmにもなります。
ただし、すでに絶滅していますが、ジャイアントペンギン (全長140~160cm、体重80~90kgと推定) や、ノルデンショルトジャイアントペンギン (別名:アンスロポルニス) は全長1.8m程度で体重は90kgと人間とほぼ同じくらいの大きさだったと推定されています。。
ちなみにペンギン史上最も巨大なのがパレユーディプテス・クレコフスキーという種類で最大2mで体重も最大116kgほどもありました。

南極から南米大陸へ

実はペンギンは元々寒さに強いとか、寒い地域でしか生息できないといった生き物ではなく暖かいのが苦手なだけ。

日本でもペットとして普通の民家で暮らしているペンギンもいたり、熱帯気候帯であるガラパゴス(冷たい海流であるフンボルト海流が流れてくるため)でも生息しています。

南極は3400万年前から急速に凍り出し、氷床が完成(浮氷で覆われた北極とは違い南極は元々大陸)したのが3000万年前から。

氷床ができたこともあり、長時間の水中移動をすることなく暖かい場所を目指して移動することができました。

一部の説ではこの南極の氷床期に大型のペンギンの多くが消えていったと言われています。

暖かい場所を目指して移動した先が南米大陸で、マゼランペンギンと、フンボルトペンギンが上陸しました。

ドレーク海峡マゼランペンギンとフンボルトペンギンが移動したのが約650km。
南米大陸と南極との間は他の大陸と比べて距離は短いですが、世界でも有数の荒れる海峡として有名です。
南米大陸最南端の場所となっているホーン岬には今から1万年以上前からコーノ・スールの先住民であるヤーガン族が暮らしていました。
2014年まではホーン岬への上陸ツアーが不定期で存在していましたが、2014年以降は天候などの影響で上陸できる確率が極めて低いため、現在ではツアーは開催されていません。
それほど荒れに荒れまくる場所であると言えます。
引用:PuertoWilliams博物館

オーストラリア大陸とアフリカ大陸

南極から3000km離れているオーストラリア大陸(コガタペンギンが進出)や、3800km離れているアフリカ大陸(ケーブペンギンが進出)にも進出しています。

なぜ北極にはいないのか?

ガラパゴス諸島には冷たい海流であるフンボルト海流があるためガラパゴスペンギンたちは日中は海中に潜るなどして工夫して暮らしています。

しかし、そのエリアを超えて北上しようとすると、赤道付近の暖流を越える必要があるため、暖かいのが苦手なペンギンはこの赤道付近の暖流を超えることができず、ガラパゴス諸島がペンギン移動の限界エリアとなっています。

もしペンギンが北極で暮らしたら?

ノルウェーの地質学者であるAdolf Hoel (アドルフ・ホエル博士:1879年5月15日〜1964年2月19日 / 85歳没)はそんな疑問を研究しています。

引用:Wikipedia(オスロ大学学長時代の撮影)

1930年に博士は南極に生息していた70羽のペンギンをノルウェーのスバールバル諸島に持ち込む研究を開始。

しかし結果は一年位内にほとんどのペンギンが死んでしまいました。

北極にはホッキョクグマをはじめとした陸上の捕食者が多かったのも原因の一つとされていますが、やはり環境の適応というのは単純に気温だけの問題ではないということが浮き彫りになりました。

収斂進化していた北極ペンギン

北極ペンギンの存在オオウミガラスという北極で誕生し生息していた生物をご存知でしょうか。
かつては北大西洋と北極圏近くの島や海岸で生息していましたが、17世紀からは人間による大量捕獲でその数は激減
その後標本作成のためさらに乱獲され続け、1844年に最後の一羽(密猟者により)が剥製にされて絶滅しました。
オオウミガラスの剥製 / 引用:Wikipedia

見た目も形態もそっくりですよね。

こういった異なる地域で別々に進化生息している生物の進化を収斂進化、(読み方は:しゅうれんしんか)と呼びます。

ペンギンと同様、親子の信頼関係も強かったとされており、子供を背中に乗せながら狩りをしていたり、魚のいるポイントまで子供ペンギンを連れて行って狩りを教えていたり、南極のペンギンと同じように親が魚を捕獲し、それらを吐き出して子供に与えていたとする説もあります。

ポイント実はここまでの精度で収斂進化となった経緯や原因については解明されていません。

ペンギンの鳴き声について解説

まずはどんな鳴き声なのか・・・

当サイトの制作スタジオであるKotaro Studioで収録した音声があるので聞いてみましょう!

独特ですよね。

これは多くの鳥類に備わっている特徴ですが、喉の中に二つの器官があってそれらを共鳴して響かせており、仲間や、群れを識別するビートパターンを持ち、それぞれ認識しあっているんです。

ペンギンは鳥類の中でも特にそのパターンに多様性がある存在になります。

群れの中から特定の個体を聞き分ける精度もかなり高いのも特徴です。

参考論文:Cocktail-party effect in king penguin colonies

実際にペンギンのヒナも自分の親以外の鳴き声には反応しなかったりすることは多くの実験から明らかになっています。

参考論文:Finding a parent in a king penguin colony: the acoustic system of individual recognition

まとめ

近年イギリスの研究ではなんとペンギン(ジェンツーペンギン)の糞から、金星の大気中にある化学物質と同じものが発見されたというレポートがあり、その物質とは、“ホスフィン”という名前で、金星から約6100万km離れた地球にその物質がある理由については謎のままとなっていて、現在研究者はフォークランド諸島のペンギンを対象に生活スタイルからの視点で追求していっているそうです。

金星の物質が出たことで『ペンギン 宇宙人説』なるトンデモ論も出ているほど、不思議な存在であるペンギンの生態についてなんちゃってマスターできたでしょうか。

フォークランド諸島では野生のペンギンを見ることができますが、フォークランド諸島の観光は非常に難易度が高いため、単独での上陸はおすすめできませんが、どうしても見たい方はチャレンジしてみてもいいかもしれません。

青いタンゴ礁
青いタンゴ礁編集長
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