アルゼンチン大統領選挙2023:歴代大統領から現在の候補までの全解析

アルゼンチンの政治は、その多彩な歴史と豊かな文化に深く根差しています。

ペロニスモの影から新たな自由主義の流れへと変貌を遂げつつあるこの国では、左右の政治的スペクトラムが複雑に絡み合い、国民の日常生活に深く影響を及ぼしています。

本記事では、アルゼンチンの政治的風土を形作る歴史的背景、文化的特徴、そして現代における政治的動向を探ります。

国民の多様な声が響く中、この国の政治的な将来はどのような方向に進むのでしょうか。

アルゼンチン歴代大統領の概要

人物の写真はすべてWikipediaから引用しています。

アルゼンチンの歴史上独裁者、国家元首、大統領、政治体制の違いにもより、たくさんの方がいらっしゃいます。

ここではアルゼンチンの歴史に特に重要な人物をピックアップしています。

バーナルディーノ・リバダビア (Bernardino Rivadavia)

  • 生年月日: 1780年5月20日
  • 没年: 1845年9月2日
  • 寿命: 65歳
  • 任期: 1826年–1827年
  • 政治思想: リベラル、中央集権主義
  • 人物像: 現代化推進派、教育制度の改革者
  • 特徴: アルゼンチン初の大統領として、近代化と中央集権化を推進

フアン・マヌエル・デ・ロサス (Juan Manuel de Rosas)

  • 生年月日: 1793年3月30日
  • 没年: 1877年3月14日
  • 寿命: 83歳
  • 任期: 1829年–1832年, 1835年–1852年
  • 政治思想: 強力なフェデラリスタ、保守的
  • 人物像: 長期政権を築いた強力な指導者
  • 特徴: 強力な中央集権制と抑圧政策で知られる

ドミンゴ・ファウスティーノ・サルミエント (Domingo Faustino Sarmiento)

  • 生年月日: 1811年2月15日
  • 没年: 1888年9月11日
  • 寿命: 77歳
  • 任期: 1868年–1874年
  • 政治思想: リベラル、教育改革者
  • 人物像: 教育と文化の発展に尽力した知識人
  • 特徴: 教育制度の近代化と文化的進歩に貢献

フリオ・アルヘンティーノ・ロカ (Julio Argentino Roca)

  • 生年月日: 1843年7月17日
  • 没年: 1914年10月19日
  • 寿命: 71歳
  • 任期: 1880年–1886年, 1898年–1904年
  • 政治思想: 保守的、拡張主義
  • 人物像: 軍事的、政治的なリーダー
  • 特徴: 国土拡張と内政の安定化に貢献

イポリト・イリゴージェン (Hipólito Yrigoyen)

  • 生年月日: 1852年7月12日
  • 没年: 1933年7月3日
  • 寿命: 80歳
  • 任期: 1916年–1922年, 1928年–1930年
  • 政治思想: ラディカル、民主主義
  • 人物像: 多党制を導入し民主主義を推進
  • 特徴: 中産階級の利益を代表し、政治の民主化に努めた

フアン・ペロン (Juan Perón)

  • 生年月日: 1895年10月8日
  • 没年: 1974年7月1日
  • 寿命: 78歳
  • 任期: 1946年–1955年, 1973年–1974年
  • 政治思想: ペロニスモ、社会的正義
  • 人物像: 労働者階級の権利拡大を図ったカリスマ的な指導者
  • 特徴: ペロニスモ運動を通じて社会政策と国民統合に貢献

アルトゥーロ・フロンディシ (Arturo Frondizi)

  • 生年月日: 1908年10月28日
  • 没年: 1995年4月18日
  • 寿命: 86歳
  • 任期: 1958年–1962年
  • 政治思想: 開発主義、中道
  • 人物像: 改革的で進歩的な政策を推進
  • 特徴: 経済開発と教育改革に焦点を当てた

ラウル・アルフォンシン (Raúl Alfonsín)

  • 生年月日: 1927年3月12日
  • 没年: 2009年3月31日
  • 寿命: 82歳
  • 任期: 1983年–1989年
  • 政治思想: ラディカル、民主主義
  • 人物像: 弁護士、人権擁護者
  • 特徴: 軍事独裁後の民主化を主導し、人権侵害に対する正義の確立に努めた

カルロス・メネム (Carlos Menem)

  • 生年月日: 1930年7月2日
  • 没年: 2021年2月14日
  • 寿命: 90歳
  • 任期: 1989年–1999年
  • 政治思想: ペロニスモ、新自由主義
  • 人物像: 政治的に柔軟、経済改革に重点
  • 特徴: 新自由主義政策の導入による経済の自由化と民営化を推進

ネストル・キルチネル (Néstor Kirchner)

  • 生年月日: 1950年2月25日
  • 没年: 2010年10月27日
  • 寿命: 60歳
  • 任期: 2003年–2007年
  • 政治思想: 左派、キルチネリスモ
  • 人物像: 政治的リーダー、改革者
  • 特徴: 社会的公正と経済的復興に重点を置いた政策を実施

クリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル

  • 任期: 2007-2015
  • 経歴と人物像: ネストル・キルチネルの後継として大統領に就任。アルゼンチン初の女性大統領。
  • 政策と影響: 社会福祉の強化、教育と科学技術への投資を推進。一方で、経済政策に関しては賛否両論がある。

アルゼンチン大統領選挙の方法と特徴

アルゼンチンの大統領選挙は、独特の方法と特徴を持っています。以下に、その選挙システムとその特徴を詳述します。

選挙方法

  • 二回投票制: 初回投票で過半数を獲得できない場合、最も票数が多い上位2名による決選投票が行われる。
  • 選挙権: 18歳以上のアルゼンチン国民に選挙権が与えられる。
  • 任期: 大統領の任期は4年で、1度の再選が可能。

選挙の特徴

  • 広範囲な支持必要: 決選投票制度は、広い支持基盤を持つ候補者が選ばれる可能性を高める。
  • 政治的多様性: 様々な政党や候補者が競い合うことで、政治的多様性が保たれる。

アルゼンチン政治の特徴

アルゼンチンの政治は、その歴史と文化に深く根ざしています。

政治的スペクトラムは主に左翼(ペロニストまたはユスティシャリスタ)と右翼(自由主義者、保守派)に分かれています。

特に、ペロニスモ(ペロン主義)は、元大統領フアン・ペロンと彼の妻エバ・ペロンによって代表され、社会的正義と労働者階級の権利を重視するポピュリズム運動です。

この運動は、アルゼンチンの政治文化において重要な役割を果たしています。

一方、右翼や自由主義者は、より市場志向の経済政策と、個人の自由と責任を重視します。

最近の政治では、ペロニスモ以外の政党も力をつけており、国民の間で多様な政治的意見が見られます。

アルゼンチンは、約4500万人の人口を持ち、その政治は多党制による広範な意見の対立と合意形成が特徴です。

現代の政治では、経済政策、社会保障、人権、国際関係など、様々な課題が複雑に絡み合っています。

また、政治的傾向は地域によっても異なり、都市部と地方部では異なる政治的支持基盤が存在します。

こうした背景の中で、アルゼンチンの政治は、国民の多様な意見とニーズを反映する動的な状況にあります。

ペロニスモの影響力は依然として大きいものの、新しい政治的動きも注目されており、国民の意識と政治的選択が今後の国の方向性を決定する重要な要素となっています。

アルゼンチンの2023年大統領選挙の主要候補者

10月に実施された大統領選挙で決着がつかず、11月19日この2人で最終選挙です。

通貨をドルにしたい!:Javier Milei(ハビエル・ミレイ)

  • 経歴: ブエノスアイレス連邦代議員、経済学者。
  • 政策: アルゼンチン経済のドル化を提案し、中央銀行を閉鎖することを含む。政府支出の削減(10~15%)、国家機関の縮小と省庁の廃止を主張。
  • 立場: 社会的に保守的であり、環境変動の否認者。銃規制の緩和とポープへの批判も行う​。

デジタル通貨の導入を推進!:Sergio Massa(セルヒオ・マッサ)

  • 経歴: 前市長、国家代議員、2022年以降経済大臣を務める。
  • 政策: 中道と統一を掲げ、異なる政治派閥の統合を目指す。経済管理の防衛、新たな経済対策の提案、税逃れへの罰則強化、デジタル通貨導入の提案など。
  • 立場: 現政権の一部として、経済政策の防衛と改善策を提案している​。

青いタンゴ礁
青いタンゴ礁編集長
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