スペイン語の挨拶|朝昼晩の使い分けと、中南米の言い方
目次
スペイン語の挨拶は数が少なく、覚えることはそれほどありません。
ただ、日本語の感覚のまま使うと、二か所でつまずきます。ひとつは時間帯の境目。もうひとつは、教科書に載っている言い方が、南米では日常であまり使われないことです。
ここでは基本の形をおさえたうえで、アルゼンチンやウルグアイで実際に耳にする言い方を並べます。旅行でも、これから学ぶ人でも、最初に知っておくと迷いません。
時間帯で使い分ける3つ
まずこの3つだけで、一日のほとんどが足ります。
| 時間帯 | スペイン語 | 読み | 意味 |
|---|---|---|---|
| 朝から昼まで | Buenos días | ブエノス ディアス | おはようございます |
| 昼から日没まで | Buenas tardes | ブエナス タルデス | こんにちは |
| 日没から夜 | Buenas noches | ブエナス ノーチェス | こんばんは / おやすみなさい |
いずれも複数形です。día は男性名詞なので buenos、tarde と noche は女性名詞なので buenas。この形のまま覚えてしまうのが早いです。
境目は時計ではなく食事です
日本語の「こんにちは」は正午で切り替わりますが、スペイン語圏はそうではありません。
buenos días から buenas tardes に変わるのは、昼食を終えたあたりです。アルゼンチンの昼食は13時から14時ごろなので、15時に buenos días と言っても不自然ではありません。逆に、12時半にまだ食事前なら buenos días のままです。
buenas tardes から buenas noches に変わるのは、日が落ちたときです。時計ではなく空の明るさで決まります。ブエノスアイレスの夏は21時前まで明るいので、20時に buenas tardes と言います。冬は18時にはもう buenas noches です。
迷ったら、相手が使ったほうに合わせれば確実です。
buenas! だけで済ませる
現地でいちばんよく聞くのは、実はこれです。
店に入るとき、エレベーターで乗り合わせたとき、ひとこと「¡Buenas!」(ブエナス)。時間帯を選ばず、朝でも夜でも使えます。くだけた響きですが失礼ではなく、日常のほとんどはこれで回っています。
時間帯を間違えるのが不安なら、buenas! を覚えておくと安全です。
こんにちは、やあ
| スペイン語 | 読み | 使う場面 |
|---|---|---|
| Hola | オラ | いちばん基本。時間帯を問わない |
| ¡Hola! ¿Qué tal? | オラ ケ タル | やあ、調子どう |
| ¿Qué hacés? | ケ アセス | 何してるの (親しい相手) |
Hola は h を読みません。「ホラ」ではなく「オラ」です。
Hola だけでも成立しますが、現地では Hola と時間帯の挨拶を続けて言うことがよくあります。「¡Hola, buenas tardes!」のように重ねます。ていねいさが増します。
元気ですか、の言い方
ここが、教科書と現地でいちばん差が出るところです。
| スペイン語 | 読み | どこで使われるか |
|---|---|---|
| ¿Cómo estás? | コモ エスタス | どこでも通じる標準形 |
| ¿Qué tal? | ケ タル | スペインでよく使う。中南米でも通じる |
| ¿Cómo andás? | コモ アンダス | アルゼンチン、ウルグアイの日常 |
| ¿Todo bien? | トド ビエン | 中南米で広く。直訳は「全部いい?」 |
| ¿Cómo va? | コモ バ | 軽い。すれ違いざまに |
アルゼンチンの vos
アルゼンチンとウルグアイでは、「きみ」にあたる代名詞が tú ではなく vos です。動詞の形も変わります。
- ¿Cómo estás? → ¿Cómo estás? (この語は同じ形です)
- ¿Cómo andas? → ¿Cómo andás? (アクセントが後ろに移ります)
- ¿Qué haces? → ¿Qué hacés?
- ¿De dónde eres? → ¿De dónde sos?
日本の教科書はスペインの tú で書かれているものがほとんどなので、現地で ¿De dónde sos? と聞かれて固まる人が多いところです。意味は「どこ出身ですか」で同じです。
vos を自分で使えるようになる必要はありません。聞いて分かれば十分で、tú の形で答えても誰も気にしません。この違いを知っているだけで、聞き取りがずいぶん楽になります。
くわしくはアルゼンチンは何語か、カステジャーノと vos の話にまとめています。
返し方
聞かれたら返します。ここまでが一組です。
| スペイン語 | 読み | 意味 |
|---|---|---|
| Bien, gracias. ¿Y vos? | ビエン グラシアス イ ボス | 元気です、ありがとう。あなたは |
| Todo bien. | トド ビエン | 順調です |
| Más o menos. | マス オ メノス | まあまあです |
| Acá andamos. | アカ アンダモス | ぼちぼちです |
| Un poco cansado. | ウン ポコ カンサド | 少し疲れています |
Bien で止めずに ¿Y vos? と返すのが自然です。日本語で「おかげさまで」と返すのに近い働きをします。
Más o menos は便利な言葉で、体調にも、味にも、進み具合にも使えます。ひとつ覚えるならこれです。
別れるとき
| スペイン語 | 読み | 意味 |
|---|---|---|
| Chau | チャウ | またね。いちばんよく使う |
| Adiós | アディオス | さようなら。やや重い |
| Hasta luego | アスタ ルエゴ | またあとで |
| Hasta mañana | アスタ マニャーナ | また明日 |
| Nos vemos | ノス ベモス | また会いましょう |
| Que estés bien | ケ エステス ビエン | お元気で |
Adiós は日本の教科書でいちばん最初に出てきますが、現地の日常ではあまり使いません。長い別れの響きがあるためです。店を出るとき、友人と別れるとき、ほとんどは Chau です。イタリア語の ciao が由来で、アルゼンチンはイタリア系移民の影響が濃いことがここにも出ています。
Chau chau と二回繰り返すと、より軽くなります。電話を切るときによく聞きます。
頬を合わせる挨拶
アルゼンチンでは、初対面でも頬を合わせて挨拶します。
やり方は、右の頬どうしを軽く触れさせて、口で軽く音を出します。唇は相手につけません。回数は1回だけです。スペインは2回、地域によって3回のところもありますが、アルゼンチンとウルグアイは1回と決まっています。
男性どうしでも行います。ここは日本人が最も戸惑うところですが、握手より頬を合わせるほうが標準です。仕事の場面でも、二度目に会うときはたいてい頬になります。
無理に真似る必要はありません。手を差し出せば相手は握手に切り替えてくれます。ただ、相手が顔を寄せてきたときに後ろに下がると拒絶の合図になるので、そこだけ気をつけます。
呼びかけの言葉
挨拶に続けて使う、相手への呼びかけです。
| スペイン語 | 読み | 使い方 |
|---|---|---|
| Señor | セニョール | 男性へ。ていねい |
| Señora | セニョーラ | 既婚または年上の女性へ |
| Señorita | セニョリータ | 若い女性へ。使わない人も増えています |
| Che | チェ | ねえ、おい。アルゼンチンの口語 |
Che はアルゼンチンを象徴する言葉です。チェ・ゲバラがこう呼ばれたのは、アルゼンチン出身で口ぐせだったからです。友人どうしの呼びかけで、初対面では使いません。
由来についてはチェ・ゲバラとは何をした人かでも触れています。
覚える順番
一度に全部は要りません。この順で足りていきます。
- Hola と Chau。この二つで出会いと別れが成立します
- Buenos días / Buenas tardes / Buenas noches。店や宿で必要になります
- ¿Cómo estás? と Bien, gracias. ¿Y vos?。会話が一往復します
- Más o menos と Todo bien。答えに幅が出ます
- Buenas! と Che。現地の距離感に入ります
旅行で使う場面を通しでそろえたい方は、観光で使えるスペイン語フレーズ50選に、道をたずねる、注文する、両替する、といった場面別の言い方をまとめています。
よくある質問
スペイン語の挨拶で、まず覚えるべきものは何ですか
Hola (オラ) と Chau (チャウ) の二つです。時間帯を問わず使えて、出会いと別れが成立します。次に Buenos días、Buenas tardes、Buenas noches を足します。
Buenos días はいつまで使えますか
昼食を終えるまでです。時計ではなく食事が境目で、アルゼンチンの昼食は13時から14時ごろなので、15時に使っても不自然ではありません。
Buenas tardes と Buenas noches の切り替えはいつですか
日が落ちたときです。ブエノスアイレスの夏は21時前まで明るいので20時でも tardes、冬は18時にはもう noches になります。
¿Cómo andás? と ¿Cómo estás? はどう違いますか
意味は同じです。andás はアルゼンチンやウルグアイの日常でよく使われる言い方で、vos という代名詞に対応した動詞の形です。
Adiós は使わないほうがよいですか
間違いではありませんが、長い別れの響きがあるため日常ではあまり使いません。店を出るときも友人と別れるときも Chau が標準です。
頬を合わせる挨拶は何回ですか
アルゼンチンとウルグアイは1回です。右の頬どうしを軽く触れさせます。スペインは2回で、国によって違います。
初対面でも頬を合わせますか
アルゼンチンでは初対面でも行います。男性どうしでも同じです。手を差し出せば握手に切り替えてもらえます。