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バンドネオンとは|アコーディオンとの違いと音の仕組み

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バンドネオンとは|アコーディオンとの違いと音の仕組み
目次
  1. バンドネオンとは
  2. 音が出る仕組み
  3. ボタンの並びに規則がない
  4. アコーディオンとの違い
  5. ドイツで生まれた楽器が、なぜタンゴにあるのか
  6. ハインリヒ・バンドという人
  7. アコーディオンからバンドネオンへ
  8. 1847年誕生
  9. 海を渡りアルゼンチンへ
  10. 演奏の難しさは何に由来するのか
  11. これから聴く人、触れる人へ
  12. よくある質問
  13. バンドネオンに触れる
  14. あわせて読む

バンドネオンとは

両手で持つ蛇腹の楽器です。左右にボタンが並び、蛇腹を伸び縮みさせて空気を送り、内部の金属の舌 (リード) を鳴らします。

同じ蛇腹の仲間にアコーディオンとコンサーティーナがありますが、バンドネオンはそのどれとも違う道具です。鍵盤がなく、音の並びに規則性が乏しく、押すときと引くときで出る音が変わります。楽器としては極端に演奏しづらい部類に入ります。

それでもタンゴがこの楽器を手放さなかったのは、他では出ない音が出るからです。減衰しない持続音を、息のように伸び縮みさせられる。弦でも管でもない、この一点にタンゴの表情が乗っています。

音が出る仕組み

蛇腹の中は空気の部屋です。伸ばすと外から空気が入り、縮めると中の空気が押し出されます。どちらの向きでも、ボタンを押して開いた穴を空気が通り、その先にある金属の舌を震わせて音になります。

このとき、空気の向きによって鳴る舌が入れ替わります。ひとつのボタンに、押し用と引き用の二枚の舌が仕込まれているためです。

つまり、同じボタンでも押すと ド、引くと レ、といったように別の音が出ます。これを異音式 (バイソノリック) と呼びます。ピアノやギターに慣れた人がいちばん驚くところです。

蛇腹を返した瞬間に音の並びが総入れ替えになるため、演奏者は左右の手について、押しの配置と引きの配置を別々に覚えることになります。実質、四つの楽器を同時に覚えることに近い作業です。

ボタンの並びに規則がない

もうひとつの難所がここです。

一般的な楽器は、隣り合うボタンや鍵盤が音階の順に並んでいます。バンドネオンはそうなっていません。半音上の音が、盤面の反対側にあることも珍しくありません。

これは設計の失敗ではなく、成り立ちの結果です。バンドネオンは最初から完成した形で生まれたのではなく、必要な音が出てくるたびにボタンを足していきました。足した場所は、そのとき空いていた場所です。それが百数十年そのまま残っています。

現在の標準は71ボタン (右手38、左手33) の形で、これを rheinische Lage (ライン式配列) と呼びます。アルゼンチンのタンゴで使われるのは、ほぼこの配列です。

規則がないので、演奏者は配置を丸ごと記憶します。移調も、頭の中で押さえ方を組み替えるのではなく、別の配置として覚え直すことになります。

アコーディオンとの違い

バンドネオンアコーディオン
音の出方押しと引きで音が変わる押しても引いても同じ音
右手ボタン鍵盤 (ボタン式もあります)
音の並び規則性が乏しい音階の順に並ぶ
音量の調節蛇腹の速さだけ蛇腹に加え、レジスタで音色を切替
支え方膝の上に置く。座って弾く肩ひもで体に固定。立って弾ける
重さおおむね5キロ前後10キロを超えるものもあります

いちばん大きな違いは、支え方に表れます。アコーディオンは体に固定するので立って演奏できますが、バンドネオンは膝に置いて左右に開きます。タンゴの楽団で奏者が必ず座っているのは、この形のためです。

音色も違います。アコーディオンは複数のリードを同時に鳴らして厚みを作りますが、バンドネオンは基本的に単一の系統で鳴り、音が細く、まっすぐ前に出ます。合奏の中で埋もれずに輪郭が立つのはこのためです。

ドイツで生まれた楽器が、なぜタンゴにあるのか

この楽器はアルゼンチンで生まれていません。ドイツのクレーフェルトという織物の町で、19世紀の半ばに形になりました。

作られた目的も、踊りの伴奏ではありませんでした。小さな教会にはパイプオルガンを置けません。持ち運べて、和音が出せて、音が長く伸びる。その代わりになる道具として設計されています。

それが南米に渡ったのは、19世紀後半の移民の流れによるものです。楽器は荷物の中にありました。港に着いたドイツ系、イタリア系の人々が持ち込んだものが、ブエノスアイレスとモンテビデオの酒場で別の役目を得ます。

教会で使うはずだった持続音が、港の夜の音楽に合いました。ここで楽器の運命が変わります。生まれた国では19世紀のうちにほとんど使われなくなり、遠く離れた河口の街でだけ生き延びました。今日バンドネオンといえばタンゴの楽器を指すのは、この経緯によるものです。

タンゴそのものの成り立ちはタンゴとは何かにまとめています。

ハインリヒ・バンドという人

ハインリヒバンドは1821年4月4日、ドイツとオランダの国境付近のクレーフェルトで産まれました。

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アコーディオンからバンドネオンへ

1820年代終わりに外での演奏を可能にするためにウィーンで開発されたアコーディオン。

最初のアコーディオンは1829年楽器製作家シリル・デミアンが創りました。

その後1834年に、キーが鍵盤式ではなく、ボタン式に改造されたコンサーティーナという楽器が開発されました。

これがバンドネオンの原型と言えます。

コンサーティーナは1829年イギリスの物理学者:チャールズ・ホイートストンがイングリッシュ・コンサーティーナの特許を取得しました。

ここからジャーマン式コンサーティーナとなり、バンドネオンへと繋がっていきます。

ポイントジャーマン式コンサーティーナを最初に開発したのはドイツのケムニッツ市に住む楽器製作家カール・フリードリヒ・ウーリヒです。

ちなみにアコーディオンを含めた蛇腹式楽器のことを日本語で手風琴(てふうきん)と書きます。

1847年誕生

地図で開く

ハインリヒバンドは、ケムニッツ市へ旅した際にウーリッヒのジャーマン式コンサーティーナを購入します。

そこへ、低音域を拡張するなどボタン配列に変更を加え、1847年にバンドネオンを考案しました。

ただしハインリヒバンド自身は当初、自分の楽器を「アコーディオン」と呼んでおり、「バンドネオン」とは呼ばなかったそうです。

後に、バンドの名前と、アコーディオンの「イオン」を組み合わせて「Bandonion」という楽器名が生まれました。

このため、ハインリヒバンドがバンドネオンの父と言えますが、原型を開発したのはウーリヒのため、ウーリヒが産みの親とする考え方もあります。

こちらがウーリッヒのジャーマン式コンサーティーナですが、形と言いほぼほぼバンドネオンそのものですよね。

ドイツ3Bを産んだ音楽が大好きなドイツでは、音楽をどこでも携帯しようと必死に開発していたんですね。

こちらは毎年ハノーファーで行われるDampf-Festivalの様子です。

4分31秒付近から自動音楽が流れますが、ここでは手風琴も使われてると思われます。

ドイツでは手風琴が今でも一般的に愛されている様子がうかがえます。

現在でも大手DAWの開発社はドイツに集中しているのはこの映像を見ればなんとなく分かりますよね。

海を渡りアルゼンチンへ

実はドイツからアルゼンチンへ渡った詳細な経路や歴史は明らかにされていません。

1900年頃にはアルゼンチンに渡り、1910年代にはすでにアルゼンチンではタンゴに欠かせない楽器になっていたのは事実です。

フリオ・デ・カロはバンドネオンがアルゼンチンに渡った歴史を直接見ていたかもしれないですね。

この楽器がどんな音の仕組みなのかは、実際に触るのが一番の近道です。

バンドネオンに触れてみるブラウザで鳴らせる、タンゴの心臓

バンドネオンとはどんな楽器ですか

ドイツで生まれた蛇腹式のフリーリード楽器です。教会オルガンの代用として考案され、移民とともにアルゼンチンへ渡ってタンゴの中心楽器になりました。押すときと引くときで音が変わる複雑なボタン配列が、あの哀愁を帯びた音色の秘密です。

バンドネオンとアコーディオンは何が違いますか

アコーディオンは鍵盤やボタンが規則的に並び、押し引きで同じ音が出る型が主流です。バンドネオンはボタン配列が不規則で、押しと引きで別の音が出ます。習得は難しくなりますが、息づかいのような繊細な表現ができます。

バンドネオンの配列を試せる場所はありますか

当サイトに、ブラウザ上でバンドネオンの配列を鳴らして仕組みを体験できる無料ページがあります。この記事の埋め込みからそのまま試せます。

演奏の難しさは何に由来するのか

技術的な難しさは三つに分けられます。

ひとつは、押し引きで音が変わること。旋律の途中で蛇腹を返す必要が生じたとき、押さえる場所を丸ごと切り替えます。返す位置をどこに置くかは、運指ではなく設計の判断になります。

ふたつめは、配列に規則がないこと。指の形がそのまま別の調に移せません。

みっつめは、音量が蛇腹だけで決まること。鍵盤楽器のように打鍵の強さで変えられず、撥弦楽器のように弾く位置でも変えられません。両腕の開閉の速さが、そのまま音の大きさになります。だから奏者の呼吸が音に出ます。タンゴのバンドネオンが人の声のように聞こえるのは、ここが理由です。

アニバル・トロイロがフレーズの終わりで音を細く落としていくとき、彼は蛇腹の速度を落としているだけです。仕掛けはありません。

これから聴く人、触れる人へ

音を知りたいのであれば、まずタンゴ名盤ライブラリーからトロイロとピアソラを聴き比べてみてください。同じ楽器とは思えないほど違います。トロイロは歌に寄り添い、ピアソラは楽器そのものを前に出しました。

演奏者としての系譜はアニバル・トロイロアストル・ピアソラ、それにビクトル・ラバジェンにまとめています。

実物に触れたい場合、ブエノスアイレスのタンゴ博物館 Academia Nacional de Tangoにトロイロの楽器が展示されています。ガラス越しですが、ボタンの並びが規則的でないことは、写真より実物のほうがはっきりわかります。

日本国内で楽器を手に入れる場合、新品はドイツ製の復刻か、アルゼンチンの工房のものが中心で、価格は自動車と同じ帯に入ります。中古の流通は限られており、教室に相談して探すのが現実的です。

よくある質問

バンドネオンとはどんな楽器ですか

両手で持つ蛇腹の楽器です。左右にボタンが並び、蛇腹で空気を送って金属の舌を鳴らします。押すときと引くときで出る音が変わるのが最大の特徴です。

アコーディオンとの違いは何ですか

押しても引いても同じ音が出るアコーディオンに対し、バンドネオンは空気の向きで音が変わります。右手が鍵盤ではなくボタンで、音の並びに規則性がなく、膝に置いて座って演奏します。

なぜ演奏が難しいのですか

押しと引きで配置が入れ替わるため、左右それぞれに二通りの配置を覚える必要があります。さらにボタンの並びに音階の規則がなく、指の形を別の調に移せません。

ボタンはいくつありますか

標準は71ボタンで、右手38、左手33です。タンゴで使われるのはほぼこの配列 (ライン式) です。

ドイツ生まれの楽器がなぜタンゴで使われているのですか

19世紀後半の移民とともに南米へ渡りました。教会用の携帯楽器として作られたものが、港町の酒場で別の役目を得ました。

日本で買えますか

流通は限られています。新品はドイツ製の復刻かアルゼンチンの工房のものが中心で、価格は自動車と同じ帯です。中古を探す場合は教室に相談するのが現実的です。

バンドネオンに触れる

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あわせて読む

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