コルドバ生まれのチンパンジー “トティくん” の長い旅

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コルドバで32年前の1990年に生まれたチンパンジーのトティ。
2013年にはヘネラル・ロカのブバルコ動物園(Zoo Bubalcó en General Roca)で移送されましたが、移送後は一人ぼっちの寂しい生活が待ち受けていました。

ヘネラル・ロカのブバルコ動物園(Zoo Bubalcó en General Roca)

引越しの準備?!

2013 年からヘネラル・ロカで暮らすトティくんですが、ここ数年は地元の動物保護グループがトティくんを適切な場所に引っ越すべきだと訴え続けています。

霊長類の研究で世界的に有名な科学者であるジェーン・グドール氏は、一人で暮らすトティくんの問題点を指摘しています。

ポイントジェーン・グドール氏はタンザニアのキゴマに定住しながらチンパンジーの生態を研究するチンパンジー研究の第一人者です。

チンパンジーは非常に社会的な動物です。
トティにとって、毛づくろいをしたり一緒に遊んだりする人がいなくて、一人でいることは一種の拷問です。
チンパンジーを一人で閉じ込めるべきではありません。
トティは大型類人猿のリハビリテーション専門センターに送られ、そこで徐々にグループに統合されなければならない。
彼がこのような孤立した環境で孤立したままでいることを非常に懸念しています。

ジェーン・グドール氏

ブラジルの大型類人猿保護区へ

現在ブラジルの大型類人猿保護区への引っ越しが検討されているトティくん。

コミュニティーへ入るためのリハビリを経ての引っ越しとなるそうですが、やはり体力的な問題が懸念されます。

チンパンジーの年齢や平均寿命は?

チンパンジーはだいたい人間の老化に換算するためにはだいたい倍にすればいいそうで、トティくんの場合32歳ですから、人間でいうとだいたい64歳くらい。

人生100年時代の現代ではまだまだ若者とも言える年齢ですが、やっぱり全く新しい環境に馴染むという点ではハードルが高そうです。

平均寿命とこれまでの最高齢

チンパンジーの平均寿命は30歳前後とされており、トティくんはすでに平均以上生きていることになります。

高齢記録アメリカ・サンフランシスコの動物園で1960年代から飼育されていた雄のチンパンジー:コビーくんは63歳まで生きました。
2021年、長年の持病にが原因だと言われています。
人間に換算すると120歳以上生きたことになります。
最高齢記録最高齢記録はなんと日本。
兵庫県神戸市の王子動物園で69歳まで生きたジョニーくんは日本での最高齢記録となっています。
1955年アフリカ生まれ、5歳で王子動物園に来たジョニーくんは2019年高齢のため療養していた寝室で早朝静かに息を引き取りました。

絶滅の危険

チンパンジーについて少しだけ豆知識程度に知っておきませんか?

雄の全長では85センチメートル、雌は77.5センチメートルが平均値とされています。

体重は雄で40〜60kg。

雌で32〜47kg。

脳容積は397ミリリットル前後。

もっと大きいイメージがありますが、意外と小さいですよね。

アメリカのホームドラマ:フルハウスでもチンパンジーが登場する回がありました。

ダニーの妹でウェンディー(ダーリーン・ヴォーゲル(Darlene Vogel)さん)はチンパンジーのジンジャーをジョーイに預かってもらって一悶着!

という話がありました。

ジンジャーのいたずらでキミーの頭がパンクロックになってましたよね。

ドラマではすごく好奇心旺盛で人懐っこいイメージでした。

実際はどうなんでしょうか?

生態について

熱帯雨林から山地林・サバンナなどに生息し昼行性です。

夜間になると木の上で眠りにつくそうで、基本的には毎日新しく寝床を作って休むそうですが、同じ寝床を再利用することもあれば、安全だとわかれば地面で寝床を作ることもあります。

蟻塚に棒を差込んでシロアリを捕食したり、石などの道具を使って殻を割ったり、木の葉を使って樹洞に溜まった水を飲んだりと、生きるために道具を駆使することが特徴です。

地域によって使う道具や捕食方法が異なることから地域文化性を持つとも言われています。
集団と群れで暮らすのが一般的ですので、群れの中で捕食方法を考察する集団性も持ち合わせています。
この辺りを見ると人間ととても近いことがわかりますね。
集団行動西アフリカや中央アフリカなどの一部の天敵がいる地域では、捕食されないために集団で対策行動を取るなどの現象が見られました。
チンパンジーが他の大型動物に捕食されているのを初めて確認したのは2013年(東アフリカでヒョウに捕獲)のことでした。
以降はワニやライオンからの捕食も確認されています。

独特の習性:子殺し

子殺しによって、他のオスを減らし、自らの遺伝子を残す確率を高めるための繁殖戦略という見方があります。

しかし、ライオンなどの子殺しとは違い自分の血を引いているか引いていないかの区別ができていないといわれており、習性自体がチンパンジー社会で何を意味するのか実はよくわかっていません。

ポイント集団から外れ、一頭でいるところを数頭で狙いに行くといったケースが多いそうです。
集団内の雄:雌の比が出生時1:1を基準とした場合、成獣となると1:2と偏っていきます。

危険性

人間に比べると比較的小柄な動物ですが、その力は驚くべきもので、成獣の握力は200kg以上、一説によると300kg以上あるという説もあります。

車のフロントガラスなどは素手で簡単に割れるそうで、過去飼育下の動物園でも様々な事故が報告されています。

バブルスくんマイケル・ジャクソンはチンパンジーのバブルスくんをペットとして買っていましたが、成獣に向かう際にやはり同居は危険だということもあり、バブルスを手放し専用の飼育施設で余生を送らせています。
子供の頃のバブルスくん、昔はアメリカのテレビ番組でよくマイケルと一緒に登場するシーンもみかけましたよね。

やはり森林の伐採なども進み、数も少なくなっています。

DNA解析では487万年前(±23万年)にチンパンジーとヒトが分岐したとされており、人間とは同じ祖先で非常に近い存在であると言えます。

だからこそ、今回のトティくんの引っ越しに関しては二人の弁護士が州に、「違法な自由の剥奪を停」するための人身保護令状を提出しています。

これに対して州知事は「速やかに解放する決定」を下しています。

この決定により、トティくんは引っ越しに向けてリハビリを行いながらゆっくり準備していくことになるでしょう。

青いタンゴ礁
青いタンゴ礁編集長
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