アルゼンチンの大統領選挙が終了し新大統領が決定しました。
新しい大統領はいったいどんな人物なんでしょうか。
ハビエル・ミレイ
基本情報
- 名前:ハビエル・ミレイ (Javier Gerardo Milei)
- 生年月日:1970年10月22日
- 年齢:53歳(2023年現在)
- 出身地:アルゼンチン・ブエノスアイレス
- 職業:経済学者、政治家、教育者
- 学歴:ベルグラノ大学(経済学学士)
家族背景と幼少期
- 父親のノルベルトはバスの運転手、母親のアリシアは専業主婦。
- イタリア系の家庭で育ち、幼少期は両親からの虐待を受けていた。
- 18歳までサッカーに集中し、プロチームのゴールキーパーとして活動。
教育とキャリア
- アルゼンチンのハイパーインフレを経験し、経済学への関心を持つ。
- ベルグラノ大学で経済学の学士号を取得後、経済理論と経済科学の修士号を取得。
- 1998年~1999年にアルゼンチン中央銀行で勤務。
- 2000年からはマクロ経済学、成長経済学、ミクロ経済学、経済学者向けの数学の教授として活動。50以上の学術論文を執筆。
メディアへの露出
- 経済学者としてテレビやラジオに多数出演。
- 2018年にはテレビで最も多くインタビューされた経済学者として知られる。
ミレイ氏は、その過激な言動と保守的な政策で知られ、「無政府主義の資本主義者」と自称しています。
彼は、アルゼンチンの既得権益層を批判し、政府支出の大幅削減、自国通貨に米ドルを採用するなどの政策を掲げており、これらの政策はアルゼンチンの経済や社会に大きな変化をもたらす可能性があります。
確かにこれだけの情報を見ても、少なくともアルゼンチン政府に対して恨みにもにた感情的な部分をかなり抱えているのが垣間見えます。
幼少期の辛い経験に加えて、ハイパーインフレやデフォルトの経験など、彼の政治思想を大きく変えた出来事が多感な時期に多発したのがわかると思います。
ざっくりとまとめてもデフォルト常連国とも言われるアルゼンチンは何度もデフォルトを繰り返しています。
1975年: 「ロドリガソ」 – 経済大臣セレスティーノ・ロドリゴの名を冠した深刻なインフレーション危機。
1985年: ハイパーインフレを止めるための「プラン・アウストラル」導入、新通貨の導入を含む。
1989年: 年間インフレ率が3000%を超え、ハイパーインフレがピークに達する。
2001年: 当時の歴史上最大規模の債務デフォルトを宣言。
2014年: 債権者との交渉が失敗し、13年で2回目のデフォルト。
2018年: 深刻な通貨危機、IMFが570億ドルの救済措置を講じる。
2020年: 私的債権者との債務再編成を行い、別のデフォルトを回避
中でも彼が31歳の頃に起きたデフォルトは国民が道端に生えている草やカエルを食べて生活しないといけなくなるほどの危機に陥っており、アルゼンチンの経済史の中でも歴史に残る出来事となっています。
政治的志向と政策
ミレイ氏の政治的志向は、彼の経済学者としての経歴から大きな影響を受けています。
彼は中央銀行の廃止を訴えており、通貨アルゼンチンペソを捨ててドルに切り替え、歳出を削減するなどの「経済ショック療法」を公約に掲げています。
また、彼は中絶反対、銃規制の緩和を訴え、進歩的なローマ教皇フランシスコを批判するなど、社会政策においても保守的な立場をとっています。
彼の選挙運動中のパフォーマンスとして、大統領選挙の遊説中にチェーンソーを振り回すパフォーマンスを展開しています。
これによって国内外の注目を一気に集めました。
彼はこの行動を通じて、アルゼンチンを経済危機に陥れた「ばらまき福祉」を象徴的に切り捨てることを意図していました。
このような過激な語り口から、彼は「アルゼンチンのトランプ」というニックネームを得ています。
ばらまき福祉とは?!
彼が廃止すると豪語するばらまき福祉の一つが、公立病院の完全無償化でしょう。
アルゼンチンでは国民はもちろん、全世界のどんな人物であっても公立病院は完全無料で使うことができます。
これは世界中でもかなり珍しい政策であり、アルゼンチン人の中にも誇りに思っている人はたくさんいる政策。
それを廃止にしてしまうというのはかなり攻めた政策であると言えます。
ハビエル・ミレイを物語るエピソード
ハビエル・ミレイ氏、アルゼンチンの新大統領に関する興味深いエピソードを以下にまとめました。
アルターエゴ:スーパーヒーロー
選挙キャンペーンのパフォーマンス
- 彼は選挙キャンペーン中に「チェーンソーを振り回して政治家を“排除”する」というパフォーマンスを行いました。彼のスローガンは「¡Viva la libertad, carajo!(自由万歳、くそったれ!)」でした
ソーシャルメディア上の過激な言動
メディアでの言葉遣い
ラジオでの異常な行動
ペットとの関係
政府機関の削減の公約
テレビ番組での奇妙な振る舞い
これらのエピソードは、ミレイ氏の政治スタイルと個性を反映しており、彼がアルゼンチンの未来にどのような影響を与えるかについて多くの注目を集めています。
アルゼンチンの新大統領として、ミレイ氏は経済的な挑戦に直面しています。
彼の政策は、アルゼンチン経済の長期的な安定性と成長を目指すものであり、国内外の政治的・経済的な風景に影響を与えることが予想されます。
しかし、彼の政策が実際にどのような結果をもたらすかは、今後のアルゼンチンの経済状況と国民の反応に大きく依存するでしょう。
現地での反応
現地では彼が大統領になって電車の中で泣いている人、街でも不穏な空気感に包まれています。
とりわけ大きな問題になるのが銃規制の緩和でしょう。
この政策は治安が元々悪いアルゼンチンにおいて、さらなる治安の悪化を招く可能性を秘めており、国民の生死に直結する問題です。
健全な国民であれば生死に関して不安を感じざるをえない状況であることは言うまでもありません。
また、公立病院の無償化が有料になるのも、不安を感じる人がたくさんいることでしょう。
元々大きな持病を持っている人や、定期的に病院に通う必要がある場合など様々ですし、出産に関しても公立であれば高い医療水準で無償にて出産することができますから、出生率にも大きく影響する可能性があります。
SNSやインターネットを駆使したマーケティング戦略に対して、「炎上商法」というニュアンスを感じている国民も一定数いるようです。
旅行者が注意するべきこと
このサイトを見にきてくれている読者のみなさまはアルゼンチンへの旅行を検討しているか、または定期的にアルゼンチンに行かれている方も多いかと思います。
これからアルゼンチンの経済はどのように変わっていくのか?
かなり大胆で大きな改革を掲げている新大統領ですので、数年単位で大きく国が動き、変わっていく可能性があります。
やはり銃規制の緩和などの情報には細心の注意を払う必要がありそうですね。
また、病院に関しても仮に無償化がなくなったとすれば渡航のための保険などを見直す必要もありそうですし、現地での手当や怪我や病気の対応もリスクヘッジしておく必要がります。
そして何より、今年、来年に実行されるような話ではありませんが、仮に中央銀行が廃止になり、ドル国家となればアルゼンチンがどう変わっていくのか?
今の所ハビエル・ミレイ氏の政治思想のみが知っていると言えるのではないでしょうか。
渡航の際は常に最新情報をチェックするように心がけていきましょう。
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