歴史と文化

ヤーガン語とは|マミラピンアタパイの意味と最後の話者

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ヤーガン語とは|マミラピンアタパイの意味と最後の話者
目次
  1. ヤーガン族
  2. マミラピンアタパイの意味
  3. ヤーガン語とはどんな言語か。単語の一覧つき
  4. ヤーガン族とはどんな人々か
  5. 裸で氷の海にいた人々
  6. 海の民でした
  7. なぜ消えたのか
  8. 最後の一人
  9. 今、行けるのか
  10. 世界の消滅危機言語一覧|タウシロ語ほか
  11. ウルグアイ
  12. アルゼンチン
  13. ペルー
  14. チリ
  15. 文化の消滅
  16. よくある質問
  17. あわせて読む

20世紀に入り、世界各地で少数言語が消滅していっていますが、この度南米チリのパタゴニア地区に古くから伝わってきたヤーガン族のヤーガン語のネイティブ話者が2022年に亡くなりました。

この記事を担当:こうたろう

1986年生まれ 音大卒業後日本、スウェーデン、ドイツにて音楽活動 その後金田式DC録音のスタジオに弟子入り 独立後芸術工房Pinocoaを結成しアルゼンチンタンゴ音楽を専門にプロデュース その後写真・映像スタジオで音響担当を経験し、写真を学ぶ 現在はヒーリングサウンド専門のピアニスト、音響エンジニア、フォトグラファーなどフリーランスのマルチメディアクリエーターとして活動中 当記事ではアルゼンチンタンゴを知るためのコアな知識を考察していきます

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ヤーガン族

クリスティナ・カルデロンさんが93歳で亡くなっていたことがわかり、ヤーガン語を話せる人はこの地球上からいなくなりました。

情報出典:AFP通信

クリスティナ・カルデロンさんは89歳時点で取材を受けており、こんなことを語っています。

「Sabadgud zanika(サバグド サニカ)」 「あなたといられて幸せですという意味よ」 〜中略〜 ひ孫「ヤーガン後で『木』はなんていうの?」 クリスティナさん「janis(ハニス)」 〜中略〜 「私が死んだら、悲しいことですが、すべてが終わってしまうと思います。もう誰もヤーガン語を話さなくなるでしょう」

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マミラピンアタパイの意味

ヤーガン語で最もよく知られているのが、この語です。

mamihlapinatapai。日本語では「マミラピンアタパイ」と書かれます。1994年版のギネスブックに「最も簡潔な語」として載り、そこから世界に広まりました。

意味は、こう説明されます。二人の人が向かい合っていて、どちらも相手が何かを始めてほしいと望んでいる。しかし自分からは動かない。その、互いに見つめ合ったまま動かない状態を指す一語です。

なぜ一語で足りるのか。ヤーガン語は、動詞に接頭辞と接尾辞を重ねて意味を組み立てる言語だからです。語の中に「互いに」「〜させる」「〜しそこねる」といった働きが埋め込まれ、日本語なら一文になる内容が、ひとつの動詞に収まります。この作りは抱合語と呼ばれ、アイヌ語やイヌイットの言語にも見られます。

つまりマミラピンアタパイは、特別な感情を表すために作られた特別な語ではありません。ヤーガン語の仕組みからすれば、ふつうに組み立てられる形のひとつです。翻訳の側に一語で受ける言葉がないため、特別に見えているだけです。

日本では「訳せない美しい言葉」として紹介されることが多い語ですが、恋愛の場面に限った語だという説明は、原語の側の裏づけがありません。狩りの場面で、誰が銛を投げるかを互いに待っている状況を指した例が記録に残っています。

ヤーガン語とはどんな言語か。単語の一覧つき

ヤーガン語は、周囲のどの言語とも系統がつながらない孤立した言語です。パタゴニアのテウェルチェ語とも、アンデスのケチュア語とも、親戚関係が確かめられていません。

語彙は3万語以上が記録されています。19世紀のイギリス人宣教師トマス・ブリッジズが、フエゴ島で暮らしながら編んだ辞書によるものです。この辞書がなければ、言語そのものが痕跡を残さずに消えていました。

語彙の偏り方に、暮らしが表れています。海と舟と天候に関する語が細かく分かれる一方、農耕に関する語がほとんどありません。彼らは畑を持たず、カヌーで海を移動し、貝と海獣を取って生きていました。火を絶やさず舟に載せて運んだことから、この地はフエゴ (火の地) と名づけられています。

いくつか記録されている語を挙げます。

ヤーガン語意味
janis (ハニス)
Sabadgud zanika (サバグド サニカ)あなたといられて幸せです
mamihlapinatapai互いに相手の一歩を待って見つめ合うこと
ushuaia西に向かう入江 (ウシュアイアの地名の由来)
yagan / yámana人、生きている人

アルゼンチン最南端の街ウシュアイアの名は、この言語から来ています。地名として今も使われている点では、言語は完全には消えていません。

ヤーガン族とはどんな人々か

世界で最も南に住んでいた人々です。

暮らしていたのは、南米最南端のフエゴ島から、その南に散らばる島々、そしてホーン岬にかけての一帯。地図でいえば、南極大陸に最も近い陸地です。ここに6000年以上前から住み、19世紀までその暮らしを続けていました。

裸で氷の海にいた人々

19世紀にこの地を訪れたヨーロッパ人が最も驚いたのが、彼らの服装でした。

気温が氷点下になる土地で、ヤーガンの人々はほとんど衣服を身につけていません。アシカの脂を体に塗り、小さな毛皮を風上に当てる程度でした。1830年代にビーグル号でこの地に来たダーウィンは、みぞれの降るなかで裸のまま平然としている人々を見て、記録に残しています。

かわりに、彼らは火を絶やしませんでした。カヌーの中央に土を敷き、その上で常に火を焚いていたのです。海の上でも、家の中でも、火はいつもそこにありました。

この地が「フエゴ (火の地)」と呼ばれるのは、そのためです。マゼランがこの海峡を通ったとき、岸辺のあちこちに火が見えたことから名づけられました。彼らの体温を保っていたのは、衣服ではなく火でした。

海の民でした

農耕をしません。畑を持たず、家畜も飼いませんでした。

木の皮を縫い合わせたカヌーで島から島へ移り、貝を採り、アシカとカワウソを獲り、魚を突いて暮らします。潜って貝を採るのは女性の役目で、男性はカヌーの上で待ちました。冷たい海に入るのは女性のほうだったという記録が残っています。

一か所に定住しません。食べるものがある場所へ移り、また移る。家は枝と草で組んだ簡単なもので、置いていくことが前提でした。

この暮らし方が、言語にも表れています。海と舟と天候に関する語が細かく分かれる一方、農耕に関する語がほとんどありません。

なぜ消えたのか

19世紀半ばまで、人口は3,000人ほどいました。

減少が始まったのは、ヨーロッパ人の到来からです。直接の暴力もありましたが、それ以上に効いたのは病でした。麻疹と天然痘、そして結核。抗体を持たない集団のなかで、これらは急速に広がります。

宣教師が善意で与えた衣服も、事態を悪くしました。濡れた服を着替える習慣がなく、体が冷えて肺の病を招いたためです。脂を塗って火にあたるという方法のほうが、この土地では理にかなっていました。

さらに、彼らの土地が牧場と金鉱に変わっていきます。移動しながら暮らす人々に、土地の所有という考え方はありません。囲われた土地の羊を獲れば、泥棒として扱われました。

20世紀に入るころには、数十人にまで減っていました。

最後の一人

クリスティナ・カルデロンさんは、チリ政府が認めた最後の純血のヤーガンでした。人間国宝にあたる称号を受け、言葉と歌を記録に残す仕事に晩年を費やしています。

2022年2月、93歳で亡くなりました。彼女とともに、母語としてのヤーガン語も消えています。

今、行けるのか

ホーン岬への上陸は、ほぼできません。

かつて上陸を含むツアーがありましたが、現在は行われていません。この海域は世界有数の荒れる海で、天候が許す日が限られるためです。船で近くを通る周遊はありますが、上陸できるかは当日の海次第です。

フエゴ島側であれば、ウシュアイアから日帰りでビーグル水道の遊覧に出られます。船からは、ヤーガンの人々が渡っていた島々と、そこに集まるアシカとペンギンが見えます。

世界の消滅危機言語一覧|タウシロ語ほか

世界には消滅危機となっている言語はまだまだ多数存在しています。

南米エリアでいうと、インカ帝国時代、またそれ以前よりかなりの数の民族が存在していましたから消滅した言語の数は計り知れないでしょう。

南米エリアで消滅危機となっている言語をユネスコが規定する消滅危機リストの中から、重大な危険以下をピックアップしています。

  1. 脆弱(Vulnerable)
  2. 危険(Definitely Endangered)
  3. 重大な危険(Severely Endangered)
  4. 極めて深刻(Critically Endangered)
  5. 1950年以降に消滅(Extinct)

ウルグアイ

グアラニー語。

当サイトでも何度か紹介しているマテ茶の発祥の地、民族であるグアラニー族の使うグアラニー語は現在ユネスコの消滅危機言語リストの「重大な危険」ランクに入っています。

グアラニー族と言えばマテ茶発祥の民族と言われています。 マテ茶は飲むサラダとも言われるほどビタミンC・ビタミンA・ビタミンB群、鉄分・カルシウム・マグネシウム等、豊富なビタミンとミネラルやポリフェノールが含まれています。 お肉中心の食生活になりがちな南米人にとって、古くから親しまれている健康茶。 現地ではマテインという造語もあるほど一度この味にはまると虜になってしまいます! 是非マテ壺と一緒に購入して楽しんでみてください。

タラグイ(青)

茎なしと茎ありがあり、こちらはブルーモデルの茎なし版。

タラグイはアルゼンチンでもかなり人気のマテ茶で定番中の定番。

お値段もアルゼンチンと同じ味を楽しめると考えれば激安です。

茎なしはスモーキーな感じが強くでますので、最初の蒸らし時間を長めにとってください。

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タラグイ(赤)

こちらは茎あり。

どっちが美味しいというわけではなく、好みの問題。

あえていうとすれば、青いタンゴ礁の事務所では青はマテ壺で、赤は水出しで飲んでいます。

アルゼンチンでは赤の方が売れているかも?

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セレクタ

マテ茶は南米全土で楽しまれていて、こちらはパラグアイ産の農薬不使用マテ茶。

独特の苦味があり、肉料理のあとにさっぱりした飲みごたえがたまりません。

1950年創業以来南米各地に老舗マテ茶メーカーとして有名です。

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タラグイ

こちらはタラグイのフレーバータイプ。

アルゼンチンでもジンジャーフレーバーをはじめたくさんのフレーバーマテ茶が売られています。

好みは分かれますが、はまればフレーバーばかりになる人も。

オレンジが好きな方は是非一度試してみてください。

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マテ壺は天然木を削ったものとステンレスのものがあります。 両者の違いを簡単に説明すると、天然木の方は年数を重ねるごとに壺自体にマテの味が染み込んでいく育成系のマテ壺。 愛情を持ってマテを飲み続けることであなただけの一本に仕上がります。 しかし、毎日飲まない人にとっては、メンテナンスや、夏場は衛生的にも問題を感じやすいのがデメリット。 一方でステンレスの場合は常に衛生的で、マテ茶を捨てるの忘れても綺麗に洗えばOKですね。 アルゼンチンでもステンレス製やガラス製のものをみかけることが多くなりました。 また、厳密にいえばウルグアイ産のマテ壺と、アルゼンチン産のマテ壺ではその作り方や形状が違っています。

ガラス製

こちらはガラス製。

やっぱり洗いやすいです。

定番の使いやすさでマテ茶の味を楽しんでください。

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ステンレス

こちらはステンレス製。

洗いやすさはもちろんですが、ガラス製に比べるとやはりお値段もお手頃価格となっています。

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ウルグアイ

ウルグアイスタイルの現地と同じマテ壺。

本当にマテ茶が大好きで毎日欠かさず飲むという方はこの天然のものを使ってください。

アルゼンチン人とウルグアイ人の見分け方があります。

毎日マテ茶を飲むのがアルゼンチン、ベットにまでマテ壺を持ち込むのがウルグアイ人。

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アルゼンチン

  • クンザ語 - Atacameño - 消滅
  • グアラニー語(チリパ方言) - Ava-Guaraní - 危険
  • チャナ語 - Chaná - 極めて深刻
  • チョロテ語(イヨフワハ方言) - Chorote Iyojwa'ja - 重大な危険
  • グアラニー語(ボリビア方言) - Guaraní Boliviano - 脆弱
  • プエルチェ語 - Gününa Küne - 消滅
  • チョロテ語(イヨウフワ方言) - Manjui - 危険
  • マプチェ語(アルゼンチン方言) - Mapuche (Argentina) - 重大な危険
  • グアラニー語(ムビャ方言・アルゼンチン・ウルグアイ) - Mbya Guarani (Argentina, Uruguay) - 重大な危険
  • モコビ語 - Mocoví - 危険
  • セルクナム語 - Ona - 消滅
  • ピラガ語 - Pilagá - 脆弱
  • ケチュア語(サンティアゴ・デル・エステロ方言) - Quechua of Santiago del Estero - 危険
  • タピエテ語 - Tapieté - 重大な危険
  • テウェルチェ語 - Tehuelche - 極めて深刻
  • トバ・コム語 - Toba - 危険
  • ビレラ語 - Vilela - 消滅
  • ウィチ語 - Wichi - 脆弱

ペルー

  • アマワカ語 - Amahuaca - 重大な危険
  • アンドア語(ペルー方言) - Andoa (Peru) - 極めて深刻
  • アラベラ語 - Arabela - 重大な危険
  • カパナワ語 - Capanahua - 重大な危険
  • チャミクロ語 - Chamicuro - 極めて深刻
  • コカマ・コカミリャ語(ペルー方言) - Cocama-Cocamilla (Peru) - 重大な危険
  • イニャパリ語 - Iñapari - 極めて深刻
  • イキト語 - Iquito - 極めて深刻
  • ハカル語 - Jaqaru - 重大な危険
  • ヘベロ語 - Jebero - 極めて深刻
  • ムニチ語 - Munichi - 極めて深刻
  • ノマツィゲンガ語 - Nomatsiguenga - 重大な危険
  • オカイナ語(ペルー方言) - Ocaina (Peru) - 極めて深刻
  • オマグア語(ペルー方言) - Omagua (Peru) - 極めて深刻
  • オレホン語 - Orejón - 重大な危険
  • ケチュア語(カハマルカ方言) - Quechua of Cajamarca - 重大な危険
  • ケチュア語(カハタンボ・パスコ・北フニン方言) - Quechua of Cajatambo, Pasco and northern Junín - 重大な危険
  • ケチュア語(チャチャポヤス方言) - Quechua of Chachapoyas - 極めて深刻
  • ケチュア語(パカラオス方言) - Quechua of Pacaraos - 極めて深刻
  • ケチュア語(サン・マルティン方言) - Quechua of San Martín - 重大な危険
  • ケチュア語(ヤウヨス方言) - Quechua of Yauyos - 極めて深刻
  • レシガロ語 - Resígaro - 極めて深刻
  • シャラナワ語 - Sharanahua - 重大な危険
  • タウシロ語 - Taushiro - 極めて深刻
  • アウシリ語 - Vacacocha - 極めて深刻
  • ケチュア語(ワンカ方言) - Wanka Quechua - 重大な危険
  • ヤミナワ語(ボリビア・ペルー方言) - Yaminahua (Bolivia, Peru) - 重大な危険
  • アムエシャ語 - Yanesha' - 重大な危険
  • サパロ語 - Zaparo - 極めて深刻

チリ

  • ウィリチェ語 - Huilliche - 極めて深刻
  • カウェシカル語 - Qawasqar - 極めて深刻
  • ラパ・ヌイ語 - Rapanui - 重大な危険

この度ヤーガン語が消滅しました。

文化の消滅

中南米はメキシコを中心として消滅危機言語の数はかなり存在しています。

お隣中国もかなりの数を抱えていることはもちろんのこと、日本国内を見ても消滅危機言語は存在しているんです。

  • アイヌ語(北海道) - Ainu (Hokkaido) - 極めて深刻
  • 奄美語 - Amami - 危険
  • 八丈語 - Hachijo - 危険
  • 国頭語 - Kunigami - 危険
  • 宮古語 - Miyako - 危険
  • 沖縄語 - Okinawan - 危険
  • 八重山語 - Yaeyama - 重大な危険
  • 与那国語 - Yonaguni - 重大な危険

よくある質問

マミラピンアタパイとはどういう意味ですか

二人が向かい合い、どちらも相手が動き出すことを望みながら、自分からは動かずに見つめ合っている状態を指す一語です。1994年版のギネスブックに最も簡潔な語として載りました。

なぜ一語で表せるのですか

ヤーガン語が抱合語だからです。動詞に接頭辞と接尾辞を重ねて意味を組み立てるため、日本語なら一文になる内容がひとつの語に収まります。アイヌ語と同じ仕組みです。

ヤーガン語はいつ消えましたか

2022年2月、最後の話者クリスティナ・カルデロンさんが93歳で亡くなり、母語として話す人はいなくなりました。

語彙は残っていますか

残っています。19世紀にイギリス人宣教師トマス・ブリッジズが編んだ辞書に3万語以上が記録されています。

ヤーガン族はどこに住んでいましたか

南米最南端のフエゴ島からホーン岬にかけての島々です。世界で最も南に住んでいた民族とされています。

ウシュアイアという地名はヤーガン語ですか

そうです。西に向かう入江という意味とされています。言語は地名として今も使われています。

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